終活 掲載

    生前整理に役立つエンディングノート:遺言との違いとは

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    エンディングノートと遺言の違いは、端的に言えば、「法的な効力」があるかどうか、ということになります。

    既にご承知の通り、「遺言」とは、遺言を作成した本人の死後に効力を発揮する「公正証書」として書き定めるものであり、通常は「自筆証書遺言」と呼ばれます。

    この自筆証書遺言の書き方自体は、簡単であるものの、法律により定められた要件や形式があり、要件や形式を満たす形で記載する必要があるのです。

    せっかく「遺言」という形で残していても、要件や形式が法律で定められたものと異なるために無効になってしまう事例は数多くあり、自分の意志が実行されないということも、しばしば起きています。

    しかしながら、法的な効力を持たせるため、自筆証書遺言を公正証書としての遺言にするとなると、財産の価格によって、例えば、500万円を超えて1000万円までは手数料として17,000円が必要、などというように価格が法律で決まっており、相続人の人数や遺言を書いた本人からどのような財産額を相続するか、ということでも手数料が変わってきます。

    弁護士あるいは行政書士など、とりわけ「相続」について専門としている方に相談することで手続きの負担を軽減することも可能ではありますが、手数料がばかにならないこと、それから「本人の意思」に法的な効力を持たせるため、様々な手続きを取ることは、正直、煩雑です。

    さらに、家族関係が円満で、自分の意思を尊重してくれるという子供さんをお持ちの方には、あまり縁のないお話かもしれません。

    それに対して、エンディングノートは、「法的な効力」はないものの、要件や形式は不問、そして記載内容も自由なため、文章でも写真でも、それを発見した相手に伝わるように書いてあれば良いのです。

    そこで、具体的に「エンディングノート」として販売されている書籍を手に取ってみました。
    …が。これは結構面倒かもしれない。それが率直な感想でした。

    自分が生きてきた生い立ちを年表スタイルでまとめたり、趣味や、資格など、直接本人の意思を反映させることとは少し異なった項目まで用意されていたのです。

    中には、簡単で非常にまとまっている書籍もありましたが、それでもかなりのボリューム。平均して50ページ前後といったところでしょうか。

    先にお伝えした通り、自分の意思を反映させるためのノートですから、伝達したい事項をまとめればそれで良いはずです。

    書籍に頼らず、自分の意思として子供さんに伝えるため、ご自身で内容を精査していくことが重要だと感じました。

    公正証書としての遺言には、「付言事項」と呼ばれる理由や背景を伝達することができる項目がありますが、エンディングノートは、自分の言葉と自由な表現で思いを伝えることができます。

    どうしてこのように相続をしてほしいのか、どうしてこのような配分としたいのか、という根拠を自由に書くことができるので、ご自身の考えをまとめるためにも重宝するのではないでしょうか。

    遺言とエンディングノートには、「法的な効力」という大きな差はありますが、結果としてお子様やご遺族に伝える気持ちは同じものでしょう。

    自分なき後、どのようにして残された家族に自分の思い、意思を伝えていくのかということについて、エンディングノートは、大きな効果を発揮するものです。

    経済産業省「安心と信頼のある「ライフエンディング・ステージ」の創出に向けた普及啓発に関する研究会報告書」(2012年)によれば、エンディングノートの存在を知っている人は、調査の全体の60%を超えたものの、実際に作成したことのある人は、5%以下という数字もあります。

    遺言という形にとらわれることなく、また、「エンディングノート」という言葉にもとらわれることなく、自分に意思を残された家族に適切に伝えていく方法をこれからの世の中は、今まで以上に必要としているのかも知れません。

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